志太泉酒造

美しい日本の風景の中に建つ

東海道五十三次の22番目の宿場町として栄えた藤枝宿、西の境界から7キロほど離れた宮原の地。水田が広がり、清流が流れ、対岸には山裾が見える、そんな美しい風景の中に志太泉の蔵はある。地主から分家した初代・望月久作氏が、1882年(明治15年)に米を有効利用しようと酒蔵を創業したのが始まりだという。 開業にあたり特に水にこだわり、瀬戸川の伏流水が流れるここ宮原の地を選び、志太郡にちなんで「志太く、泉のように湧き立つ酒をつくりたい」という願いを込めて、『志太泉』と名付けた。

硬度3.3の極上の柔らかな水と吟醸造り

「この水があったから、この地に蔵を開いた。」 この水が『志太泉』の柔らかな酒質を生む。茶会などが開かれる時、お茶の先生が「水を分けてほしい」と、汲みに来るほどの素晴らしい水質だという。志太泉酒造では仕込み水のろ過などは一切せず、井戸水をそのまま酒造りに利用している。 軟水の利点を活かし、静岡酵母を使い低温でゆっくりと醸す『志太泉』の酒は、静岡酵母らしい爽やかな果実味と相まって、フルーツのようなフレッシュさ、米由来の優しい甘味と、柔らかな酸味が引き立つ酒である。

これが吟醸じゃない?このお酒を特別本醸造で出すの?

そう酒販店に言われるほどの酒が、『志太泉』のフラッグシップ酒。 清涼感のある上品な吟醸香を持つ酒を、吟醸ではなく特別本醸造として商品化したという。 特に静岡県で、よく食べられるまぐろ赤身、しらす、桜えび、かつおなどに、絶妙に合う酒で、地元の寿司屋には欠かせない酒だという。 甘味、酸味、かすかな苦みや渋さも感じるスタイルが特徴だ。大吟醸や吟醸酒は、鮮度の良い魚や、野菜との相性がよいと知りつくす飲食店が、地元藤枝には多い。そんな地元の熱い期待を上回る、蔵元と造り手の西原杜氏の技と心意気。価格を抑え、特別本醸造として世に出すことで、日常的に楽しめる最高の食中酒として飲んでほしいと思っている。

生産者として誠実に、二人三脚で酒造りに取り組む

現蔵元である4代目の望月雄二郎社長は、食の安全に関する情報の公開、安全な材料の確保にも誠実に取り組み、ホームページを通して原材料となる酒米の産地などを自ら紹介する。 平成21年酒造年度より志太泉の杜氏についた西原光志氏は、滋賀県喜多酒造で能登の名杜氏天保正一氏の下、約10年酒造りを学び能登杜氏となる。志太泉酒造との出会いから静岡への移住を決意。穏やかで誠実な人柄をイメージさせる雄二郎社長と、関西出身でテンポよく酒造りを熱い口調で語る西原杜氏との掛け合いは、お互いの信頼の厚さの証で、ファンにも人気がある。 新体制の平成21酒造年度以降、全国新酒鑑評会での金賞受賞は、22年、24年、26年、29年(25酒造年度は入賞)と確かな実績と評価を受けている。

トレーサビリティへの関心、6次産業化も早期から注力

現在、使用する米の品種や生産者は誰なのか、圃場はどこかなど、米に対するこだわりは蔵元、消費者ともに高まっている。 志太泉酒造ではこうした関心が高まる以前から、地元の圃場、特定の酒米を使った酒造りを始めている。酒の銘柄でみてみると、『開龍』は龍勢花火が有名な朝比奈地区の花火の発射場近くの圃場で作られた酒米で造る、その名のとおりボディにインパクトがある酒。 『身上起(しんしょうおこし)』は南伊豆町の商工会と連携し『愛国』という酒米を買い付けて造った酒である。愛国は南伊豆町が発祥で、戦前はこれを作っていれば身上ができるといわれたが、戦後に栽培農家がいなくなってしまったものを何とか復活させようと、町おこしの中から生まれた酒米だという。 こうした秘話や歴史や生産者・造り手の想いに感銘を受ける酒販店や飲み手は多い。ただ、お酒を飲むということだけでない繋がりが、また一つの魅力なのである。

米農家の安定経営を支援。『誉富士』を機に原点回帰の酒造り!

平成24年から始まった、蔵のすぐ近くの圃場で静岡県酒造好適米『誉富士』の契約栽培により、地元静岡の米、瀬戸川伏流水の仕込み水、そして静岡酵母で『純米吟醸 藤枝誉富士』が出来あがった。 志太泉酒造では将来的には、蔵の使用米の過半を地元瀬戸川流域で栽培することを目標に、酒米造りを通した農業の再生も目指している。農家がしっかりとした将来設計をできる仕組みづくりが、同時に酒蔵にとっても酒米確保のための環境を整えるリスク管理にも繋がると考えている。

東京、そして世界から藤枝へ!!

『志太泉』は現在、香港に輸出している。国内流通では、売上比にして県外が約1/3となるが、圏外への流通と同時に、地元藤枝に人を呼び込む仕組み作りに注力。「志太泉が飲みたい、酒造りの事が知りたいと思ったら藤枝に行こう!!」そのための受け皿として、藤枝市が取り組む地域体験プログラム「藤枝おんぱく」にも賛同し、蔵での体験イベントも開催を始めている。